こんにちは!キャリアコンサルタントNORYです。
キャリア子サルタンとみゆきちさんと開催している土曜朝8時のキャリア勉強会。早いもので開催8回目となりました。
8回目のテーマは、運営2人が最近読んだ、キャリアに関するおすすめの本の紹介と、普段どのように読む本を探しているのかについて。
それぞれが3冊ずつ選書しましたが、どの本も自分では選ばないものばかりで、人からのおすすめって自分では見つけられない良本を発見できるのがいいんだよなーと楽しさを感じる回となりました。
勉強会で紹介した中から、私の紹介した本3冊+副読本2冊をこの記事でも共有します。
どの本もキャリアコンサルタントとしての視点を広げられる内容なので、ご興味あればぜひ読んでみて欲しいです。
おすすめ本
『マイノリティデザイン』澤田智洋:著
大手広告会社のコピーライターをしている著者は、自身の子どもの障害をきっかけに”弱さ”について再考したところ、弱さは社会の伸びしろだと気付きます。自分のコピーライターとしてのスキルを福祉業界で活かしながら、マイノリティデザイン=弱さを克服するのではなく生かしあう世の中を作るという考え方を広めているます。
おすすめポイント
- ”弱さ”の認識が変わる
- キャリア面談で”問題点”に囚われなくなる
この本の中で一番感銘を受けたのは、「弱さというのは、特定の環境下で苦手なことがあるという事。自分の“弱み”も、フィールドを変えたら強みに変わる」という観点です。
本の中で例として紹介されていたのがブラインドサッカーです。
目が見えないという”弱さ”は、ブラインドサッカーという協議の環境下では”強さ”へ変わり、目の見える健常者が参加すると、”弱く”なります。
ブラインドサッカーとは
いわゆる「見えないサッカー」。ゴールキーパー以外が全盲の選手で、アイマスクを装着し、音の出るボールを用いてプレーします。パラリンピックでは「5人制サッカー/Football 5-a-side」という競技名で、海外では「Blind Football」とも呼ばれています。
日本ブラインドサッカー協会https://www.b-soccer.jp/blind_soccer
私たちキャリアコンサルタントが行うキャリア面談では、クライアントの問題点や弱みについて着目し、クライアントの思考・行動変容を促すことが多いです。
しかし、クライアントのあり方はそのままに、環境だけ変えてしまえばその問題点(弱み)は問題ですらなくなるのでは?と、新しいアプローチの視点を身に着けるきっかけになる内容でした。
副読本としておすすめ『転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール』村上 臣:著
転職をして自己の市場価値最大化していこう。これからの時代のキャリアアップはタグ付け(転職で自分の欲しいスキルを獲得)してSNSなどで自信の考えを発信していくことが大事!
転職やキャリア形成でよく聞く「転職市場」という言葉、実は苦手です。
市場価値が高いと良くて、低いと良くない。人生上手くいかなくなる?
転職市場価値が低いと言われる人達は、他のフィールドへ移るとそこでの市場価値が高くなるのでは?
『マイノリティデザイン』と合わせて「市場価値とは?」という観点から読むと新しい発見がありそうです。
『Q&Aでわかる外国につながる子どもの就学支援』小島 祥美:著
外国にルーツのある子どもの就学状況や抱えている問題を、データや実際の現場からの声を交えて紹介し、教育現場での支援状況や支援ツールをQ&A形式で紹介しています。
おすすめポイント
- 外国人労働者が増えいるけどどんな影響があるの?という議題では語られてこなかったリアルが知れる
- 日本人の就学支援でも手一杯なのに外国籍の子どもたちにもこんな問題が!!という歯がゆさを感じられる
- 外国籍の方へのキャリア支援のヒントになる
現職が外国人向け人材紹介なので気になって手に取ったのですが、かなり衝撃的なことを知りました。
日本が外国籍の子どもたちの就学状況を調べたのは、実は2019年が最初!!!(文科省が毎年行う不就学児童生徒調査では外国籍の子どもを省いていた)。ちなみに6人に1人は学校に通っていないようです。
日本では在留資格の有無にかかわらず全ての子の就学が可能ですが、対応は現場任せとなっていて、ただでさえ多忙な教員にその負荷がかかっているということ。日本語教育まで手が回らないので日本語が上手くない子どもは支援学級に入れざる得ない学校もあるようです。
更には、高校にスムーズに進学できるかどうが自治体によって制度が異なっているいて、キャリア支援のためにかなりの工夫と現場の努力が必要という事実にも驚きました。
「我々は労働力を呼んだが、やってきたのは人間だった」
スイス人マックス・フリッシュの言葉にあるように、日本が今頼ろうとしているのは外国人労働力ではなく、外国人労働者とその家族。人間が来るという想定できているのか日本政府?労働力だけ欲しいですって言ってるよね?と憤りすら感じました。
日本は移民政策はしません!と言っていますが、現状として外国人労働者は年々増えているし、政策として受け入れ数を増やそうとしています。(2019年に特定技能という就労ビザを新設)
はたして、労働力だけ欲しい!と言っている国に働きに来たい!と思えるのでしょうか?近隣諸国の賃金の方がが高くなりつつある今、選ばれない国日本になっていくのでは?と危機感を覚えます。
とはいえ在日外国人支援は一筋縄ではいかないほど課題・問題・制度の壁だらけで何から手を付けていいのか、一個人に何ができるのか分からず諦めたくなるほど。
そんな悩みへの答えの一つを紹介しているのが、次で紹介する『外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?』です。
一緒に読むとおすすめ 『外国人労働者・移民・難民ってだれのこと?』内藤正典:著
ドイツやアメリカなど各国の移民政策の実例を元に、今後日本が直面するであろう外国人周りの問題と、日本のこれまでの移民政策に関する歴史や問題点を紹介しています。
今後外国人労働者が増えることは必然です。
そんな中、私たち一般市民ができることは、”外国人労働者”というカテゴリではなく「同僚の○○さん」「うちの子と同じ保育園に子どもを預けている□□さん」のように、”個人”として相手の事を知ること!よく知らないから差別や不和が生まれます。
今後外国籍の方のキャリア支援に関わるキャリコンさんも増えてくるはずです!ここで紹介した本は視点を広げる助けになります。
『「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン』梅崎 修 (法政大学教授),松繁 寿和 (大阪大学教授),脇坂 明 (学習院大学教授):著
大学教授3名が、邦画から洋画まで「お仕事映画」をガチ考察。統計資料や関連書籍、各種研究データをもとに、時代や国による「キャリアデザイン」の移り変わりを映画から学ぶ視点が得られます。
おすすめポイント
- 外国人労働者今後増えるけどどんな影響があるの?という議題では語られてこなかったリアルが知れる
- キャリア・経済・社会問題研究の専門家達がガチで考察した映画分析本として純粋に楽しい
実は映画鑑賞が趣味の私。「面白かった!」以外の感想や考察記事が書けるぐらいに映画を深く見れるようになりたい!と常日頃から思っていたところ、この本に出合いました。映画好きとしてもキャリコンとしても楽しめる、一粒で二度おいしい本でした。
本の中で紹介されている映画分析の一部を紹介します。
「マイインターン」は女社長の仕事と家庭の両立、の話ではなくアメリカの高齢者再雇用制度の話。
日本では「プラダを着た悪魔」の続編!的な売り出し方をされた「マイインターン」ですが、原題は「The Intern」。女社長ジュールズの仕事と家庭の両立が主題ではなく、シニアインターンのベン、高齢者の再雇用が主題のお仕事映画だったのです。
比較されているのはお仏壇のやまきという実在の会社(残念ながら比較できる日本映画がなかったようです残念)。
客層に合わせた高齢従業員の確保が課題だった同社では、希望者全員70歳まで再雇用、期間も3~6か月と短期でもOK。勤務時間もフレキシブルに選べるなど、新しい再雇用制度を立ち上げたところ、全従業員のモチベーション向上にも繋がったそうです。
定年が65歳まで延び、今後は70歳になると言われている現代日本。どのような雇用制度を作るべきか、どのようなキャリア支援をすべきか、映画からヒントを得られそうです。
この本には取り上げられていない2020年代の映画も自分なりに考察したい!
2020年7月出版のこの本、残念ながら最新映画については解説されていません。
これは自分で考察するのも楽しそう!一緒にやる方を探したい!とワクワクしています。元々趣味だった映画鑑賞が更に楽しめそうです。
実際に講義を受けることもできるようです!
学習院さくらアカデミーでキャリア支援者向けの講義が開講しているようです!残念ながら気付くのが遅く、今年は逃してしまったので来年もあるなら受講したいと思っています。
「仕事映画」に学ぶキャリアデザイン
今すぐ受けられる講義として、オンライン動画学習サービスSchooで開講している「映画に学ぶキャリアデザイン」もおすすめです!無料登録で倍速再生すると、課金なしで3本の講義が見れるはずです!(もちろん、他の講義動画も面白いので有料会員になる価値があるサービスです!)
「映画に学ぶキャリアデザイン」
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